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「俺の事は、いつもは先生で良いが、夢の場では一般の中年男性だからな。先生だと不恰好だろう。そうだな……四季だからだな……シキさんと呼んでくれ!」
「オッケー!シキ!」
「誠二、マナーってもんを知らないのか?」
年上には敬意を払う事を誠二には教えてやらねばならないようだ。
そして一也たちは次なる、シキさんが見つけたもう一人の仲間の元へと向かった。
向かった先は職員室。そう、もう一人も先生なのだ。一也の日記には書かれていない特徴の人物だったので、八人いることに増えたようだ。その先生は女性で数学を持っているらしい。その先生は一也が入学したのと同時に育休だったらしい。そして戻ったのは今から二週間程前だそうだ。担任になっていないので、まだ面識はないが、綺麗な女性だと良いな、と一也は思った。
そう思っている内に、職員室前に着いた。先に先生が入って呼んできてくれるようだ。
先生が戻ってきたがもう一人の先生の姿は見えなかった。先生が言うには出張に午後から出ていて学校にはいない、との事だった。
待望のご対面とはそう易々と出来ないようだ。明日には帰ってくると言っていたので、放課後にもう一度会いに行く事にした。
今日は部活動が休みだったので、ゆっくり放課後に先生と話していたが、知らず知らずの内に全校下校時間を過ぎていた。
一也たちは先生にさよならを言って家路に着いたのだった。
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一也は夢を見た。翌日、朝起きて祖母に遅刻するわよ、と言われても起きる気が一向にしない。これが放心状態と言う奴なのか。その一種なのか。はたまた脳死してしまったのか。とにかく一也は何も考えられない。起きる意味が見つからない。普通、学校に行くと言う目的が直ぐに見つかるはずなのに、見つからない。無の境域に入ってしまって出てこれなくなってしまった。五分程経ってから一也は布団から這い出て、一階に向かった。
どうして生きているんだろう。一也の生きている意味は何だろう。どうして起きてきたんだろう。行動すること全てに意味が無いように思える。起きるのが辛い、でも何も思わないので辛さも無い。こうなったのは全て今日の夢に原因があると思う。その夢は、一言で言うなら五億年ボタンを押した後の世界だ。何の快楽も無く、苦しみも無い。夢から覚めるまで何もする事が無い。五億年ボタンと同じく最終的に哲学の世界に入ってしまった。五億年ボタンは記憶が消えるが、一也が見た夢は記憶が残っている。だからこうなったのだ。一也はこの状態から戻ったのは学校についてからだった……。
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