一、始まりの夢は……?

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               ✳︎  小学一年生の夏休み。最後の日。  その日一也の書いた絵日記にはこう書かれていた。 『日にち 八月二日(金) 日記 今日わはやくねました。そしたらとってもおもしろいことがありました。どこかわからないけど、すこしくらくて人がぼくいがいにも五人くらいいました。よくおぼえてます。ゆめだけどゆめじゃないみたいでした。───』  絵日記には少し暗い所に人がいる様子が書かれていた。そして日記には(つたな)い字ながらも詳しく見た事が書かれていた。  これが一也の始まりの夢。まだ正夢かも分かっていない。不確かな夢。ただこの夢を見てから一也は夢を記憶できるようになった。                ✳︎  一也は二階にある寝室へ足を運んでいた。一段、また一段と足を上げる。電気を点けると家族に迷惑が掛かるので電気は点けていない。そのため足元が暗く日々の感覚で上っていく。上っている最中、強い眠気が襲ってきた。一也は少し後ろに傾く。重心が後ろになりぐらついた。なんとか一也は階段の(ふち)を掴んだ。冷や汗が出ているのが家に入る隙間風で分かる。だが眠気は襲ってくる。もぞもぞと布団に入り携帯を触りもせず、充電もせず素早く深い眠りについたのだった……。
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