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一也は学校に着いた。靴を履き替えていると、同級生の誠二が一也に話しかけてきた。
「おっはー!今日は早いねぇ〜!」
誠二はこれからバスケの朝練のようで体操着を着ている。この学校は多彩な部活動があり、茶道部やカヌー部とマニアックな部もある。よくそれだけ部があって廃部にならないものだ。それもそのはず、この学校『宮創中学校』には毎年二百人程の新入生が入ってくるのだ。
「おはよう!いやぁ、なんか早く起きちゃってさー」
「なんでぇ?」
「魘されてたらしいよ」
一也は真実半分嘘半分の言葉を使う。
「なにそれ」
誠二は一也の言った事に苦笑い。誠二は良い奴だから深くまで追及してこないから過ごしやすい。
一也は誠二とさよならをして教室へと向かう。教室には三つほどのグループが出来ていた。恐らく、勉強終わってないグループ、世間話グループ、ぼっちグループ……それはグループと言えるのだろうか。一也はどのグループに属しているかと言うとぼっちと世間話の両立グループだ。友達の数が少ないがいないことはない人が集まるグループだ。
一也は話し相手がいなかったので本の続きを読む事にした。自席に着いて本を開き、栞を取る。そうして一也はまた、本の世界へと潜り込んでいった。
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キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る。
「おーい、なんでみんな席に着いてないんだ!」
先生がチャイム着席していない生徒に注意する。
「いや、エイ先生早すぎな。そこで見張ってたんじゃねーの?」
「そーだ!そーだ!」
生徒が口々に文句を言う。しかし先生は慣れっこなのか、
「時間通りに来たまでだ。いつもの事だろう!」
と、冷静に返している。エイ先生と呼ばれる彼は英先生だ。エイ先生は彼の有名な映画のキャラクターだ。それに似たのか歌が大好きらしい。そして、エイ先生はどうやら週一でカラオケに行っているらしい。
「よし!朝の会始めるぞ!おい、カズ!本を読むな!日直の話を聞けい!」
「あ、すいません」
そうして今日の学校生活が始まった。
この時はまだ、一也と同じ奴がいるとは思ってもいなかった……。
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