下半期

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下半期

「冬への移行は、どうしようか」 「アキ、決めてよ」  少年はにこにこ笑って、テーブルに頬杖をついた。 「お前、いつもそうじゃないか……フユがそれでいいならいいけど」  アキはやれやれと首を振った。 「だって俺、12月から2月までは必然的に担当になるんだもん。あとの月はみんなで分けてよ」 「余裕の発言かましやがって……」  アキはじとっとフユ少年をにらんだ。 「去年はどうしたっけ?」 とハルが尋ねた。 「確か11月の前半と後半で分けた」 とフユが答える。 「じゃあ、今年もそれでいいんじゃない」 「ちょっとハル、大丈夫? だんだん飽きてない?」  あわててフユが腰を浮かした。 「飽きてなんかないよ。だって大事な会議だし。間違っても自分のパートが終わったからってふあああ」 「あくび混じってるけど!?」  フユの顔に、ガーンと衝撃が走った。 「ハル、あんたまだあるでしょ、この後」  ナツが、眠たそうなハルの頬をぺチぺチ叩く。 「春眠暁を覚えず……」 「あんたがそれ言うと、イラッと来るわ」 「じゃあさ、じゃあさ」  フユが身を乗り出したまま、話し始めた。 「久しぶりに、12月で切り替えてみない? ね、アキ。どう?」 「お前、さっき俺に好きに決めていいって言ったよな」 「あ……」  自分のターンをつまらなく思われたのが、よほど応えたのか。つい数行前の発言すら忘れていたフユなのであった。 「まあ、いいけど」  再び、やれやれとつぶやくアキ。 「11月末に向かって、少しずつ寒くしておくよ。で、12月で冬ってわけだな」 「そうそう、そういうこと」  フユに、先ほどのにこにこ顔が戻って来た。 「それでお願いしまーす」 「わかったよ」  面倒な後輩と思いつつ、こうして頼られると断れないのだから、俺も大概だな……と思うアキであった。
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