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蒼井は下の景色を眺めながらここにくる前に九条に言われた監視者という言葉に引っかかりを覚えていた。それを今回の先生である天ケ瀬に質問してみた。
「監視者って一体何を監視するんですか?」
天ヶ瀬はポーカーフェイスを保ちつつ、蒼井の疑問が想定していたものと違っていたことに驚いていた。蒼井は空中にいることをスルーしたのだ。驚きは隠して、まずは彼の初めの質問に答えることにした。
「過去や未来といった時間の監視ではなく、次元の監視と言った方が正しいかな」
「時間ではなくて次元ですか?」
「今私たちが生活している次元て何次元だと思う?」
天ヶ瀬は答えるのではなく、逆に蒼井に質問で返してきた。
「普通に3次元、じゃないんですか?」
「じゃあ、3次元ってどういう世界のことか説明できる?」
「えーと……」
「3次元は幅・奥行き・高さに自由度がある世界、縦・横・高さがある世界って言ったほうが分かり易いかな」
「それは何となくわかります」
「3次元に時間という軸を加えると4次元になるとも言われているんだ。だから私たちが存在しているのは4次元であるとも言える」
「はぁ……」
蒼井はとりあえず頷いた。
「今、通ってきた扉は5次元の存在でありその先にあるのが6次元なんだ」
蒼井は『5次元とか6次元ってなんだ?』と思ったがとりあえず話を聞くことにした。
「5次元という所はいくつもの時間軸が入り乱れているから過去へも未来へもパラレルワールドへも繋がっている。そこは次元のトランスファーポイントとかトランスファーエリアって言われていて、乗換地点とか乗換場のような所かな。6次元は簡単にいうと、3次元とも5次元とも違う別次元ってところだね」
「過去や未来は分かる気がしますけど、パラレルワールドにも繋がっているっていうのはどういうことなんですか?」」
「それに関しては、次元の監視をしているとそのうち分かると思うよ」
「えーと、簡単でいいので僕にも分かるように今教えてくれませんか」
「そうだね……。強制的にパラレルワールドへ行くときは禁忌を犯した時が殆どだね。だからと言って全てのパラレルワールドが犯罪者の行く場所ではないということかな」
「……分かりました。その件はまた今度お願いします」
「それより、蒼井くんは高層ビルくらいの場所に浮いていることに疑問は持たないの?」
そう言われて初めて蒼井は違和感なく浮いていることに気がついた。
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