行動開始2

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 和やかに同僚と話をしながら本城幹彦は昼食をとっていた。彼は日本人ばかりの中にいると、少々目立つ。髪はプラチナブロンドで瞳は榛色、長身で彫りが深く鼻筋が通り目力もある。 そんな華やかさで人目を惹きつけてしまう。それに加えて基本的に老若男女問わず紳士的な態度。隠れたファンがいることも頷ける。 彼の曽祖父がイギリス人だったのだが孫である母親よりも曾孫の兄弟二人の方が強くその特徴が現れたようだ。一種の隔世遺伝である。 天ヶ瀬と蒼井が監視を続けていると食事の合間に同僚が本城に話しかけた。 「あの薩摩切子工房のオヤジさん、よくあの子を弟子にしたよなあ。うちのショールームにも見本を置いてくれるなんてオヤジさんも随分丸くなったよな」 次元監視者の二人が同僚だと思っていたのはリームの社長の鮫島潤一(さめじまじゅんいち)であり、鮫島李花の兄だった。 「美里が薩摩切子が好きで、日本だけじゃなくて世界中の人に知ってもらいたいって言って、オヤジさんのところに取材を申し込みに行ったのがきっかけだったよな…… まさかこんなことになるとは」 「薩摩切子って一度途絶えたのに30年位前に復刻してくれたから、またあの独特で綺麗なガラス細工が見られる様になったんだったよな」 「そうだな。うちの店で扱える様になったのも、美里ちゃんのお陰だよ。お礼を言っておいてくれるかな本城」 「ありがとうございます社長。ちゃんと伝えておきます」
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