最終章 忘れられないドロップス

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「俺も会いたかった」 遥が私の頬に触れて何度もこぼれる涙を掬う。 そして遥が私の瞳を真っ直ぐに見つめた。 「有桜が好きだよ」 ──ずっとずっと聞きたかった言葉。 遥が好きで私だけを見て欲しくて。 「遥……」 「やっと言えた……俺、忘れたくても、『忘れられない』くらい有桜のことが好きだから」 遥はそのまま私の額に触れるだけのキスを落とす。 「……ぐす……ひっく……」 「有桜?」 嬉しくて声が出なくて、頷いた途端、また雫が溢れた。 「嬉しくて……言葉が……出なくて……」 「うん」 「遥、もう離さないで」 私の伸ばした両手は遥がしっかり掴まえて、身体ごと抱きしめる。 「有桜がどんなに嫌だって言っても、離してやんないから」 そして遥の唇が私の唇にそっと触れる。 桜の樹の下で重ねたキスは甘い甘い遥のドロップスの味がした。
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