504人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺も会いたかった」
遥が私の頬に触れて何度もこぼれる涙を掬う。
そして遥が私の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「有桜が好きだよ」
──ずっとずっと聞きたかった言葉。
遥が好きで私だけを見て欲しくて。
「遥……」
「やっと言えた……俺、忘れたくても、『忘れられない』くらい有桜のことが好きだから」
遥はそのまま私の額に触れるだけのキスを落とす。
「……ぐす……ひっく……」
「有桜?」
嬉しくて声が出なくて、頷いた途端、また雫が溢れた。
「嬉しくて……言葉が……出なくて……」
「うん」
「遥、もう離さないで」
私の伸ばした両手は遥がしっかり掴まえて、身体ごと抱きしめる。
「有桜がどんなに嫌だって言っても、離してやんないから」
そして遥の唇が私の唇にそっと触れる。
桜の樹の下で重ねたキスは甘い甘い遥のドロップスの味がした。
最初のコメントを投稿しよう!