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「曰く蛙化現象というやつかな」
俺のベッドの上で見下ろす黒縁眼鏡はスマホを弄りながら淡々と告げた。
っんだよ、蛙化って!!蛙ってなんだ!
「蛙化現象とは恋愛感情が急激に冷める状態を示す。以前は両思いだと思った瞬間冷めることだったらしいが、最近では相手がちょっとダサい行動などで急激に冷めることを言うらしいぞ」
んなことは知ってるんだよ。
だけど俺の何に反応して蛙化したんだよ、鮎奈ぁっっ。
「お前が昨日ジュース買おうとして小銭ばら撒いたせいだろ。それから態度が違うって言ってたじゃないか」
「判定がキツすぎんだろうがよっっ!!」
環は面倒くさそうな顔をして、その艷やかな直毛を後に流した。そしてクッションに頭を埋め彼女に渡すはずのブラとパンツを握りしめたままの俺をベロリとみた。
んだよ、失恋に悲しむ幼馴染がそんなに面白いかよ。
更にクッションに顔を埋め隠す。ああ、ちくしょう。情ねぇ。
頭上から小さな溜息が落ちてきた。
ベッドからいつの間にか降りた環は、俺に覆いかぶさる様な体勢で俺にそっと囁く。
その吐息に思わず身体がビクついた。
「俺は蛙化しない」
はあ?何言ってんだ。つうか、近くねぇか。
「アツのそのクソみたいに情けない姿見ても蛙化しない」
へ?
てか、おい!クソみたいは言いすぎだわ。あと近い。息が耳にかかる。
「寧ろその下着はアツが着たら滅茶苦茶興奮すると思う」
……………………はあっ???!
「つまりはそういうことだ。理解しろ」
環はそのまま当たり前のように、俺の旋毛に唇を寄せた。
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