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ショッピングモールの中に有るレストランに入った。
味は良くも悪くも無い。
私はロースハムのサンドウィッチを頬張っていた。
お兄ちゃんはカツカレーを食べている。
「お兄ちゃんとこうやって過ごすの本当に久しぶりだね?」
私は自然と頬を緩ませていた。
「そうだな…。久々にお前の顔をまともに見たような気がする」
そう言われ、私も久しぶりにちゃんとお兄ちゃんの顔を見たな、と思う。
「また、たまに来ようよ」
私はそう言った。
特に深い意味が有ったわけでは無い。
お兄ちゃんは少し当惑した表情を浮かべていた。
「そうだな」
少し間があって、そう言ってくれた。
レストランの中は暖房も効いていたし、外の日差しが差し込んでいたのでとても温かかった。
私は、ゆっくりと進む時間の流れを感じていた。
最近は、お兄ちゃんとは殆ど会話が無く、顔を合わせると気が重く感じたが、
今日はそうでは無かった。
家ではないからだろうか?
少し兄妹で有るという事を忘れられた。
「コーヒーか紅茶か頼む?」
お兄ちゃんはデザートのメニューを私に渡してきた。
「んじゃ、コーヒーにしよっかな」
私は少し迷いそう決めた。
「んじゃ、俺も」
そう、日だまりのように笑うこの人を見ていて、目の前に居るこの人が大好きだと、改めて思った。
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