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人通りの少ない道路の脇に、佐山さんは車を停め、話し出した。
「今日、急に橋本から電話有って。
吉村(よしむら)が怪我して病院に運ばれたって言われて」
「えっ?」
私はよく話が見えないでいた 。
橋本って、前に佐山さんと居る時に会った、あの嫌な感じのする人。
けど、吉村と呼ばれた人の事は分からない。
「ああ、ごめん。
明音ちゃんは吉村の事知らないか。
吉村も高校の時からの友達で、その吉村が昨日駅の階段から転落したらしくて、けっこう頭を強く打ったみたいで…」
「吉村さんは…」
私はそう口にして、その先の言葉を思い留まった。
「命はとりあえずは取り留めたのだけど。
ただ、意識が戻らないんだ…」
私は掛ける言葉が見付からず、頷くしか出来ない。
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