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150.魔法結晶
「ケイ?」
「ねえ。メグ。この魔法晶石、頂戴」
指し示したのは、透明なガラス戸に囲まれた、五十センチ四方の冷蔵庫。もちろん、飲食物の管理用ではなく、実験の試料や材料が入っている。
「いいけど、一つ?」
「ううん、そうだなー。五つ?」
後ろから追いかけてきたメグは、険しい顔で首を微かに振る。
「だめだよ、実験用に購入したんだもん。そんなになくなったら、みんな驚くよ」
「魔石作成に使ったって言えば」
「その魔石はどこにあるの?」
「実験に使ったっていえばいいよ」
魔法晶石は、自然界にある魔力素を含んだ結晶だ。魔力を貯めやすい傾向にあるが、耐久性がないため、加工して人口魔石を作るのに使われる。
「でも」
「ねえ、お願いメグ」
振り向いて、メグの顔を覗き込んで首を傾げる。
メグは途端にひるんで、おどおどして、顔を背けてしまうが、顔が真っ赤だ。だからケイは言葉を重ねる。
「ねえ、メグ。必要なんだ」
「何に、使うの?」
「……秘密だよ」
グレード五の笑みで、話を終わらせればメグは頷くだけ。
「じゃあもらっていくね」
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