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200.バス停
待ち合わせ場所は、バス停だった。
時刻は二十時。外灯の淡い光に照らされて、リディアが裏門からゆっくりと歩いてくるのを、キーファはまぶしげに目を細めて見つめた。
ヒールはやめてフラットシューズを履く足首はパンツの裾で隠れているが、わずかに庇う歩き方で、様子がおかしいと目を引く。
キーファはさり気なく歩み寄り、リディアに手を差し出す。
「コリンズ、ありがとう。でもいいよ」
「誰もいません」
リディアは困ったように首を振る。
「そんな歩き方で、手助けしないほうがおかしいです」
「でも」
「誰かが通りかかれば、すぐに手を離します」
リディアは迷いながら、キーファの腕に手を載せた。
「かなり助かる。ありがとう」
「気にしないでください。男として当然のことです」
それでもリディアの顔は晴れない。人に頼るのを苦手とする性格もあるだろう、だが、やはり男子生徒と何かあると誤解をされたくないのだとわかる。
(わかっているけれど……)
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