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完成です!
ちなみにこっから下は短い殺人鬼くんのお話なので、読み飛ばしてオッケイですよ(≧∇≦)💦
暗い部屋は窓の月の明かりのみ。
赤いフードを被ってホロホロと彼は泣く。
「あなたが彼女を誘わなかったんじゃないの」
私はボタンの目をパチパチとさせて彼を見上げた。
あんなに楽しそうにクリスマスの準備をしていたくせに、飾り付けが終わった途端彼の表情は一気に暗くなり、そのまま座り込んでしまった。
そうしてクリスマスを迎えた彼はいつも通り一人ぼっちだった。
「ミーニャ、僕もうあの娘のこと好きじゃなくなったんだ」
ホツリホツリ彼のこぼす言葉は涙に濡れて掠れてる。
「あんなに好きだったのに……彼女の為に彼女をいじめる悪い女を殺して、その腸でクリスマスの準備をしたのに……」
知ってるわ。
愛を捧げようと、あのテーブルの上の箱には腐りかけた心臓が入ってる。
あなたが傷つけないように丁寧に丁寧に取り出す様子を私は見てたもの。
「でもどうでもよくなっちゃった……いつもこうだ。人を殺すと僕の恋も終わっちゃうんだ」
この泣き虫な殺人鬼はいつも誰かに恋をしている。そして、その人の為に人を殺すと、何故かその恋心も消えてしまうのだ。
「今回の恋は真実の愛じゃなかったのよ」
そう慰めるが、彼は小さく蹲っただけだった。
可哀想な殺人鬼。
人を殺すことを躊躇わないのに、いつも愛を探している。
いつかちゃんと誰かを愛したいと願っている。
ねえ、サンタさん。
彼に愛が届きますように。
私は綿の詰まった両手を重ねて空を眺めた。
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