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三人目は先々代の炎帝である。先々代炎帝は、現在、複数人の弟子を取り、弟子を育てながら、西の国で暮らしている。彼はすでに引退した身であり、彼の好意で協力を得られることはあるが、緊急事態でもない限り、世界政府組織が呼び出すのは少々難しい。
そして、四人目が自分である。
「仕事を終えたら、戻って参ります」
「本当ですか?」
ユリアスの表情がぱっと明るくなった。
「はい」
“忍び寄る黒炎”に“紅蓮”を教えるのは、おそらく三十分程度が限界だ。魔法の鍛錬には魔力を消耗する──魔法が不発であっても魔力を消費するからだ──が、それが神級魔法ともなると魔力消費量は桁違いに多くなる。
「お父様」
ユリアスが公爵に視線を移した。公爵は渋い表情でうなずく。
「ありがとうございます」
親子のやり取りの内容は把握できなかったが、公爵が何らかの許可をユリアスに出したように見えた。
「リュース様、お待ちしていますね」
「……はい」
嬉しそうに笑んだユリアスに、リューティスも頬を緩めたのだった。
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