三十一章 不思議な少年の未来は

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  「学年はどうする?」 「アデリートの学校は、年齢がいくつか異なる生徒も多いと伺っております。来年度に高等部一年生からでも、問題ないでしょう」  玲姫の年齢は十七歳。高等部一年生の年齢は、基本的には十五歳から十六歳である。十代の少年の中では、一つ二つの年齢差も大きい。しかし、東の国の出身だという玲姫は幼顔であるため、違和感なく高等部一年生に紛れ込めるだろう。 「わかった。そのように手配しておく」  了承してくれた公爵に、内心で安堵する。これで、玲姫は己の希望通りの将来を歩むことができるようになるだろう。 「今後のことは本人と相談いたします。近いうちにアデリートに移動することになるかと思いますが」 「あぁ、わかった」  玲姫が『あと二週間で独り立ちをする』と宣言した直後は、あの街で玲姫と別れるつもりでいた。しかし、アデリートの学校に通うのであれば、そうはいかない。彼一人で今いる中央の国東部から南西部にあるアデリートまで旅できるとは思えないからである。  つまり、リューティスは何らかの方法で彼をアデリートまで送り届けなければならない。  しかし、あと一月で首都に戻らなければならないリューティスには、玲姫をゆっくりとアデリートまで連れていく時間はない。転移魔法で連れていくしかないだろう。 .
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