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『文官の件なのですが、いつ頃、こちらにいらっしゃいますか』
『準備はほとんど整っております。明日にでもそちらに伺うことが可能です』
ファントリアは以前、村の顔役をしていた。しかし、彼が顔役をつとめていた村は、魔人と魔物によって壊滅してしまい、今は他のエルフ族の集落に身を寄せている。現在の彼は、集落の中で重要な役割を担っておらず、自由の多い立場であると聞いている。以前の彼の立場であったら、文官を引き受けることも難しかったに違いない。
自由の多い立場であるが故に、こちらに来る準備に費やせる時間も十分にあり、たった数日で準備をほぼ整えてしまえたのだろう。
『わかりました。そのように侍従に伝えます。ただ、こちらの準備の進捗状況によっては、数日お待たせすることになる可能性もあります』
『承知いたしました。お願いいたします』
念話を切断する。明日までに準備は間に合うのだろうか。リューティスが手伝えるものならば手伝いたいが、主が使用人の仕事を奪ってしまってはならない。彼らには彼らの矜持があるのだ。
「……ユリ、ありがとうございます。どうやら侍従と話をする必要があるようです」
リューティスが告げると、ユリアスはほのかに笑みをうかべた。
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