三十一章 不思議な少年の未来は

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  「後回しにはしないようがよさそうですね。お父様、よろしいでしょうか?」 「あぁ」  ユリアスは公爵に許可を取ると、テーブルの上に置かれていた小さな呼び鈴を鳴らす。すると、扉を叩く音がした。ユリアスが許可を出すと、廊下で待機していた使用人のうちの一人が部屋の中にはいってきた。 「失礼いたします。御用でしょうか?」 「セドリックを呼んで」 「承知いたしました」  使用人は恭しく一礼して部屋から出ていくと、入れ替わりにセドリックが部屋の中に入って来た。 「失礼いたします。お呼びと伺いました」  セドリックはリューティスの側に立って丁寧に一礼した。公爵とユリアスの視線がこちらに向けられる。 「セドリック、新しい文官のことだけど、あちらは明日にも準備が整うって。こちらはあとどれくらいで準備が整いそう?」  セドリックの気配と魔力がわずかに変化した。表情には一切の変化が見られないが、彼の焦りが気配から伝わってくる。 「明日までに準備いたします」 「……三日後に来るように伝えておくよ」  セドリックはほんのわずかに表情を変えた。 「……お気遣いいただきありがとうございます」 「ううん」  リューティスは首を横に振る。むしろ、こちらがセドリックたちに謝罪すべきであろう。しかし、主であるリューティスが謝罪しては彼らが困るに違いない。 .
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