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──リューティスは平民である。しかし、幼い頃から総帝という特殊な立場についているが故に、『部下』を率いることには慣れていた。だが、『部下』と『従者』は別物である。
ため息を呑み込み、ファントリアに念話を繋げる。
『──ファントリアさん』
『はい』
リューティスから念話が来ることを予想していたのだろう。ファントリアからの返答に動揺はなかった。
『こちらの準備の関係で、三日ほどお待ちいただきたいのですが』
『承知いたしました。では、三日後にそちらに伺います』
『よろしくお願いいたします』
『いえ、こちらこそよろしくお願いいたします』
ファントリアに了承してもらえたことに安堵しつつ、念話を切断する。
「あちらには伝えておいたから、準備をお願いね」
「承知いたしました」
セドリックはもう一度恭しく一礼すると、ちらりとテーブルのティーカップを見た。
「紅茶をいれ直しいたしますか?」
「……うん」
リューティスがうなずくと、セドリックは部屋の隅に置かれていたティーセットで紅茶を淹れ直し始めた。
「リュース様、今日は何かご予定はありますか?」
話が終わったところで、ユリアスに訊ねられた。頷きたいところであるが、そうはいかないのだ。
「……少し仕事に行かねばなりません」
「そうですか」
ユリアスは残念そうに眉尻を下げた。
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