3/4
前へ
/48ページ
次へ
「っは、ぁ」  勝手に漏れる濡れた声を恥ずかしいと思う余裕さえない。  もどかしいやり方で快楽を求めて互いに腰を使う。 「……っ、く」  眉を寄せ息をつめて快楽をやり過ごした暖が色っぽくて、蒼士は暖の首に縋る。二人の唇はすぐに重なって、舌を絡め合った。  暖の手が、蒼士の脇腹を撫で、ベッドと臀部の間に差し入れられる。丸みを辿って、優しく押し揉んだ。  羞恥にかたく目を伏せた。  唇を放した暖が、興奮に上ずった声を出した。 「指、っ、入れていい?」  目を伏せたまま微かに頷く。ベッドに入る前に、暖が買った道具で準備を済ませてある。  体を起こした暖の手に促されて膝を立てる。左の膝裏を押し上げ、胸につくほど曲げられる。 「あぁ、全部見える」  蒼士は薄く目を開け、暖は睨んだ。帰ってきたのは笑顔だった。 「煽んないで。そういう目、興奮する」  長い指が、入り口を優しく撫でてから、ぐっと入り込んでくる。 「ん……っ、あー」 「やわらかい……。ねえ、俺今蒼士さんの体の中まで触ってる。わかる?」  ゆっくりと、中を味わうように出し入れされる。その感触がひどく淫らで、先端から蜜が零れる。  時折中で指を曲げ、蒼士のいいところを探ろうと動く。 「あ、ここ……?」  そこを押されるたびに、腰がじわっと熱くなった。  息が荒くなる。 「ここ、だよね?」  暖は見つけた場所を何度も責めたてる。幾度も触れられるうちに、疼くような快楽が強くなる。 「…………あっ、あ!」 「いい?」  首を横に振ると暖は不安げな顔をして指を止めた。 「痛い?」 「そ、じゃなくて、はやく……!」 「まだ、早くない? 平気?」  指よりも。早く二人で快楽を共有したい。 「欲しい、暖……!」  くっと暖の口角が吊り上がる。牙を剥くような笑みにゾクゾクした。  ゴムをつけるわずかな時間さえ、焦らされているようだった。 「蒼士さん、好き、ねぇっ、好き……!」  甘く上ずった声で囁きながら、そこに先端が押し当てられる。  それだけで、頭が痺れる。暖と体を繋ぐのだ。  本当に、戻れなくなってしまう予感があった。  ――戻れなくていい。暖が欲しい。 「はる」  請うように肩に縋ると、腰が進められる。息を吐いて暖の昂った体を受け入れた。 「あーっ、あ……あ……っ、は、る」 「大好き、蒼士さん、嬉しい」  ゆっくりと、繋がった場所を揺すられる。  それだけで、幸福感が強くて、心だけで達してしまいそうだった。 「やばい、こんなの……」  喘ぐように暖がこぼす。圧迫感が強かった場所がゆっくりと馴染んで、じわじわと蠢き始めた。 「動くよ」  ゆっくり腰を引いてまた深く押し込まれる。 「あ、……あっ!」 「蒼士さん大好き、きもちいい、んっ、好き」 「俺も、好きだ」  自分の喘ぎと暖の甘い囁きに、頭の中がとろとろになっていく。  柔らかい場所をかき回されて、繋がった場所の境がわからなくなっていく。  何もわからないほど溶け合うと、蒼士の胸の中には、もう暖への愛しさ以外、何も残っていなかった。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加