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「っは、ぁ」
勝手に漏れる濡れた声を恥ずかしいと思う余裕さえない。
もどかしいやり方で快楽を求めて互いに腰を使う。
「……っ、く」
眉を寄せ息をつめて快楽をやり過ごした暖が色っぽくて、蒼士は暖の首に縋る。二人の唇はすぐに重なって、舌を絡め合った。
暖の手が、蒼士の脇腹を撫で、ベッドと臀部の間に差し入れられる。丸みを辿って、優しく押し揉んだ。
羞恥にかたく目を伏せた。
唇を放した暖が、興奮に上ずった声を出した。
「指、っ、入れていい?」
目を伏せたまま微かに頷く。ベッドに入る前に、暖が買った道具で準備を済ませてある。
体を起こした暖の手に促されて膝を立てる。左の膝裏を押し上げ、胸につくほど曲げられる。
「あぁ、全部見える」
蒼士は薄く目を開け、暖は睨んだ。帰ってきたのは笑顔だった。
「煽んないで。そういう目、興奮する」
長い指が、入り口を優しく撫でてから、ぐっと入り込んでくる。
「ん……っ、あー」
「やわらかい……。ねえ、俺今蒼士さんの体の中まで触ってる。わかる?」
ゆっくりと、中を味わうように出し入れされる。その感触がひどく淫らで、先端から蜜が零れる。
時折中で指を曲げ、蒼士のいいところを探ろうと動く。
「あ、ここ……?」
そこを押されるたびに、腰がじわっと熱くなった。
息が荒くなる。
「ここ、だよね?」
暖は見つけた場所を何度も責めたてる。幾度も触れられるうちに、疼くような快楽が強くなる。
「…………あっ、あ!」
「いい?」
首を横に振ると暖は不安げな顔をして指を止めた。
「痛い?」
「そ、じゃなくて、はやく……!」
「まだ、早くない? 平気?」
指よりも。早く二人で快楽を共有したい。
「欲しい、暖……!」
くっと暖の口角が吊り上がる。牙を剥くような笑みにゾクゾクした。
ゴムをつけるわずかな時間さえ、焦らされているようだった。
「蒼士さん、好き、ねぇっ、好き……!」
甘く上ずった声で囁きながら、そこに先端が押し当てられる。
それだけで、頭が痺れる。暖と体を繋ぐのだ。
本当に、戻れなくなってしまう予感があった。
――戻れなくていい。暖が欲しい。
「はる」
請うように肩に縋ると、腰が進められる。息を吐いて暖の昂った体を受け入れた。
「あーっ、あ……あ……っ、は、る」
「大好き、蒼士さん、嬉しい」
ゆっくりと、繋がった場所を揺すられる。
それだけで、幸福感が強くて、心だけで達してしまいそうだった。
「やばい、こんなの……」
喘ぐように暖がこぼす。圧迫感が強かった場所がゆっくりと馴染んで、じわじわと蠢き始めた。
「動くよ」
ゆっくり腰を引いてまた深く押し込まれる。
「あ、……あっ!」
「蒼士さん大好き、きもちいい、んっ、好き」
「俺も、好きだ」
自分の喘ぎと暖の甘い囁きに、頭の中がとろとろになっていく。
柔らかい場所をかき回されて、繋がった場所の境がわからなくなっていく。
何もわからないほど溶け合うと、蒼士の胸の中には、もう暖への愛しさ以外、何も残っていなかった。
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