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「え。うん」
「しかもアダルト系のライターなんだ。土塔くんも男の子なんだね♡」
「なんの話?」
「エロい年上のお姉さんちでアルバイト。おいしいよねーw」
「ちょっと里香! 美々もやめなよそういうこと言うのっ」
千織が二人をたしなめるが、女子二人の詮索は止まらない。
「でも、アレはやめといたほうがよくね? 土塔の格が下がるっていうかさー」
「……格ってなに?」
静かに尖った可波の声音に、女子二人の笑顔が凍りついた。
「僕が忘れ物したせいで華ちゃんが届けに来てくれて、それで迷惑かけてるのは申し訳ないけど、悪口を聞かされるのもボランティア? 連れて帰れっていうならそうするけど、僕も帰る。ここにいたくないから」
きゅっと音を立てて蛇口を閉めると、可波は洗ったトングをまとめて持ち上げた。
女子たちに背を向けて、ボランティアスタッフの元へと運ぶ。
可波は終始目を合わさなかったが、ギャルたちの顔は真っ青になっていた。
「えっ、怒った? 土塔、怒ってね?」
「もぉ、今のは二人が悪いよ?」
「えー! だって千織のためじゃんー!」
「それでも、陰口はよくないし、誰だって嫌な気持ちになるよ?」
しょんぼりとする女子たちに、千織は「仕方ないな」とばかりにため息をついた。
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