12話 華ちゃんvsちーちゃん

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 それから20分後。  広場で遊んでいた子どもたちが道端に集まっていた。 「サクラ、そこ黄色足りてない」 「そう言うお姉ちゃんも、そこの赤い落ち葉曲がってる!」 「あれ、ほんとだ。あはは、サンキュー!」  華子とサクラが楽しげに落ち葉をばら撒く。  その足元には、某ゲームキャラクターである黄色いネズミの落ち葉アートができかけていた。 「すっげー!」 「ぴえんさん、茶色い葉っぱ持って来た!」 「ありがと、じゃあ耳んとこ詰めといて。あと、あたしはぴえんじゃない! の・は・す!」 「ぴえんさん、俺もやりたい!!」 「聞けよガキンチョ!!」  華子がアウトラインを描き、中身を見合った葉で埋めていくだけの落ち葉アート。  色さえ決まっていれば、小学生でも参加しやすい。  よく考えたなぁ。と、可波は少し離れた道の端から眺めた。 「んじゃあとは完成までよろしく。サクラ、あんたがリーダーだからね」 「う、うん!」  華子は緊張に顔をこわばらせた少女に微笑むと、可波のもとへと走った。 「はい、ジョウロ。水入れて来たよ」 「じょーできじゃん。さすがあたしのかなみん♡」 「なにそれ……。あっ、重いから気をつけて?」 「お??」  ジョウロを両手で受け取った華子の体が、ぐらりとよろけた。 「カナミ、後ろで支えてて」 「いいけど、なにするの?」 「うーん。『絵は無理だけど、文章でなら表現できる版権シリーズ』にする。つーわけで、黒ネズミに決定。作家の底力を見せてやる! カナミはあたしに合わせて!」  華子はジョウロの先を持つと、さっと軽やかに地面に撒いた。  細いただの線が重なり、みるみるうちに“黒ネズミ”の形を作り上げていく。 「言ってることがめちゃくちゃだけど、ほんとだ。描いてはいけない絵を描いてるはずなのに、なぜか版権的には問題ない……」  可波は謎の力に恐れおののいた。 「あー!! それミッk」 「その先は言っちゃダメ! 今後も安寧(あんねい)な生活を求めるならな!」  子どもたちの言葉を遮って、華子が物騒なことを叫ぶ。  喋りながらも手は止まらないため、可波は動きに合わせてジョウロを支える。
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