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引っ越してきて、テレビの集金以外で初めて家のインターホンが鳴ったかもしれない。
早朝にも関わらずしつこいチャイムに根負けし、可波は布団から這い出した。
玄関を開ける前からだいたい予想はついていたけれど……。
「おはよー、かなみん!」
「おはよう華ちゃん。早いねー」
あくびが漏れる。多分まだ7時そこらだったはず。
夜型の華子がこの時間にパジャマ姿ではなく、髪も服もキメているという事実が信じられない。もしかしたら夢を見ているのかも。と、ひとつの可能性が浮かぶ。
でも一応、聞いてみることに。
「今日は華ちゃんオフだよね。なんで起きてるの?」
「オフだからだよ。遊ぼ!」
遊びに来た小学生かーい。
華子が休みということは、もちろん可波のバイトも休みである。
久しぶりの終日休み。
千織のことも考えたいし、ひとりでゆっくりと過ごそうと思っていたけれど、特に予定のない可波に毎度のことながら選択権はなかった。
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