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華子の様子がおかしい。
「華ちゃん、進捗どー?」
「……」
大学から仕事場に直行してみれば、華子はクッションを抱いて、ソファに寝転がっていた。仕事道具のパソコンは持ち主に見向きもされず、雑に床に落ちている。
「なんで? プロットは書いたんだよね。あとは執筆でしょ」
「やだ。もうこれ書きたくない」
こういうの、前にもあったな……と、可波は困惑した。
前にもあったが、状況はまるっきり同じというわけではない。むしろ今回のほうがずっと悪化している。
外部の仕事でも調子が悪いと、君取から相談も来た。いわゆる“のはす節”のキレが悪いのだという。
一体なにがあったのか。
前回、これから二人三脚で頑張ろうという雰囲気だったのに。
(やっぱ、あれかなぁ……)
可波は肩を落とす。
華子を問い詰める前に。
一昨日、可波と千織のデートが華子に知られた話から、まず片付けないといけない。
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