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◆◇◆◇◆◇
「可波くん、先どーぞっ」
「んっ」
千織が隣で歩く可波に、アイスクリームが乗ったスプーンを差し出した。
可波はそれが垂れる前に、腰をかがめてぱくつく。
一体二人が何をしているのかというと、完全に見たままの通り、食べ歩きスイーツデートである。
アイスの前には大きないちごが4つ串に刺さったいちご飴も分けあって食べたし、先ほど購入したかわいいパウチに入ったジュースは、首からぶら下げている。
千織はそれを持って、ツーショットの写真をSNSのストーリーに上げていた。
まごうことなき、リア充大学生のお手本のような映えデート。
「んー、おいしーね!」
「あっ……」
千織がアイスのスプーンを迷わず自分の口に入れた。
関節キスなんですけど……。と可波はソワソワするが、彼女は気にしていないようだ。
それだけではない。
「今日はデートだし、可波くんとおそろいになるかなってパーカ着てきたんだけど、当たりで良かった!」
そう言ってくるりとその場で回って見せる千織は、ウニクロのパーカと黒のロングブーツのみの、ワンツーコーデ。
お尻が見えそうな丈で、余計にソワソワが止まらない。いや、下にはいてるんでしょうけど。
火事のあと、服はウニクロで揃えていた可波だったが、バッチリと手持ちの服が把握されていたのも恥ずかしかった。
(デートかぁ……)
隣で歩くペアルックの女の子に告白されて数日が経過していたが、可波はまだ返事を出せずにいた。
「とりあえずデートしない?」と誘ったのは千織から。
それに可波も乗り、時間を合わせて本日出かけることに。
今回のコリアンタウンは、誘った千織が選んだ。
まかせっきりで申し訳なさげな可波に「じゃあ第二回は、可波くんがプラン考えてね♡」と言える千織は、とてもいい子である。
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