14話 華ちゃんがスランプです

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 さてをおく。 「かわいー! ピンクがいいかな。エメラルドも捨てがたい〜!」  気づけば千織は、マカロン店のショーケースの前に張り付いてはしゃいでいた。 「ね、可波くんはどれがいい?」  あまりにも自然体すぎる彼女を見ていると、可波の緊張も、笑顔とともにこぼれていくのがわかった。 「ちーちゃん、ちょっとこっちおいで?」 「なになに?」  小走りで駆け寄ってきた千織の顔に、可波は優しく手を添えた。  不意打ちに目をぱちくりとさせている彼女に構わず、頬についた緑色のアイスを親指で拭う。 「アイス、そんなおいしかった?」 「……うそお!?」  笑いをこらえる可波を見て、ぽやーっとしていた千織は我に返った。  真っ白な顔のせいで、暖色に変わるのがとてもわかりやすい。 「やだ、恥ずかしいんだけどー!!」  千織は顔を隠そうとして、とっさに可波の胸元に額をつける。 「あはは。もう取れてるよ」 「うー、ほんと? 手汚れちゃったね、ハンカチ使って」  日本人離れした茶系の瞳がチラリと見上げてくる。控えめに言っても超天使である。  けれど、そんな至近距離で女の子と見つめ合えるほど可波も手練(てだれ)てはない。 「大丈夫、慣れてるから〜」  よくわからない返答をして、そそくさと視線を外した。同時に半身を引いて、体を離す。
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