14話 華ちゃんがスランプです

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「てか、ちーちゃんてスイーツも結構食べるんだね、ちょっと意外」 「そーかな? 私、自分でも作るし。ごはんも甘いものも好きだよ」  千織が差し出したアイスのカップを可波は受け取り、今度は自分でスプーンですくって口に運ぶ。 「美味しいもの食べると『幸せ♡』って感じるんだ。だから、可波くんにも幸せな気分になってもらえたらって、デートを食べ歩きにしたんだよ」  そう言って、千織は可波に腕を絡ませた。  アイスを持っている可波は動けず、筋肉をこわばらせて千織を見下ろした。 「デートだし、いいよね?」  前を向いた千織の表情はよく見えなかったけれど、耳は真っ赤になっていた。  千織はとても素直でかわいい。  可波のためにと選んでくれたデートプランもうれしいし、なにをしても平和で、のんびりしていて、甘い時間だった。  それなのに……。  なぜか、さっきからアイスの味がよくわからなかった。  ぎしりと小さな違和感が胸を締め付ける。  いつもだったら口から適当にこぼれる雑談も、胃の奥に引っかかってしまったように全く出てこない。  テンションを入れるリモコンは、どこかに置き忘れている気分だった。  突然、千織が立ち止まった。  そのため、自動的に可波も歩行を停止する。 「? ちーちゃん?」 「すみません、彼氏さんもご協力お願いしていいですかー?」  見ると、マイクを持った人とテレビカメラを背負った人が、千織を引き留めていた。
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