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「僕たちお昼のニュースバラエティ『ゼップ』なんですけど、カップルインタビューに協力してもらえませんか? マジで彼女さんアイドルみたいですね!」
「彼女だって。どーしよ、可波くん?」
千織は戸惑うように可波を見上げる。
嫌がっているというより、可波に同意を求めているような表情だ。
華子と炎上して目立つのは苦手だった可波だが、今の自分が千織のために役立てることを考えても、ほとんどないのが悲しい事実。
彼女が求めることには、なるべく手を貸したい。
……よし。
心配しなくても、千織だったらなんでもうまくこなすだろう。
「ちーちゃんがよければ僕はいいよ。もし嫌だったら無理しないで。僕から断るし」
「ありがと。でも私、可波くんが良いなら出てみたいかも!」
テレビに興味津々な女の子がはしゃいで、可波の腕に重みがかかった。
生放送ということで出番まで少し待機したあと、撮影スタッフが可波にマイクを向けた。
「彼は今日、どうして新大久保へ?」
「えっと、二人で遊びに来ました」
「彼の好きなところはどこですか?」
「あの、いっぱいあるんですけど、いちばんは一緒にいて波長が合うところです」
マイクを差し出された千織がにこやかに答える。
ちょっと照れた。
「かわいい彼女さんですね。彼は?」
「え……あー」
可波は少し思案して。
「ふわっとして見えるけど、素直で、ちゃんと芯がある子だと思ってます」
スタッフが微笑ましそうに目を細める。
「はい、今日いちばんの癒し系なお似合いカップルでした! ありがとうございました〜」
放送は5分もかからずに終わり、撮影クルーも去っていく。
それを二人で見送りながらぼんやりと立っていると、意識を呼び戻すようにポケットの中の電話がけたたましく鳴った。
見ると、ディスプレイに「君取」と出ている。
「ごめん、ちーちゃん。バ先のマネージャーさんからだ」
「あ、うん。全然いいよ」
「ありがと。……もしもし?」
その場で通話を押すと、耳に飛び込んできたのは女の声。
『もしもしぃ? 今日いちばんの癒し系なお似合いカップルさぁん?』
「……あれ。華ちゃん?」
電話の向こうで、君取がなにか叫ぶ声が聞こえている。
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