14話 華ちゃんがスランプです

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 泥酔のはすの衣はほとんど消えてしまっていた。  自分が自分であることを許されて、自然と受け入れてしまったせいだ。  それにおけるメンタル崩壊の覚悟はしていたのに、思ったよりも精神的に来た。  とどめの一撃は間違いなく、可波と千織のツーショットだ。 「ああ、ダメだ…………好き、なんだ、あたし……っ」  ぽつりと、言葉とともに涙がこぼれた。  みっともなくて、惨めで、手が震える。  こんな、人として終わってる自分なんて、恋をする資格ないのに。  しかもずいぶん年下の男子にいったよな、おい。  一昨日VTRで見た、可波と千織が並ぶ姿が似合いすぎて、嫉妬で焼け狂いそうだった。 「おえっ、ごほっ! げほっ! げほっ!! ううぉ……死にてぇ……」  自分への嫌悪感が、胃からせり上がって外に出た。  肩で息をしながら、床に広がる汚ないそれをぼんやりと見つめる。  ワルキューレの騎行が部屋に響く。 「人を好きになって、メンタル死ぬとか。マジで人間のバグだろ、最悪……」  他人から見えている自分と、自分が認識している自分。  その乖離(かいり)が激しくて気持ちが混濁(こんだく)している。  ガラガラと心の要塞が崩れていくのを、ただ黙って見過ごすしかない。 「もーやだ。できないよ。つらいよ、ぜんぜん楽しくないよぉ〜」  ソファに顔を埋めて、華子は子どものように泣き叫んだ。  ワルキューレの騎行は、夜更けまでループし続ける。
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