14話 華ちゃんがスランプです

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  ◆◇◆◇◆◇ 「こっち向いて。えーやだぁ♡ かわいいー♡」  白やらピンクやら黄緑やら……目がチカチカする色のワッフルパフェを持たされ、さらにポーズまで指定されて可波は顔を引きつらせた。  向かいの席では、千織が満面の笑みを浮かべてスマホを向けている。 「わーい、私も撮ろっと。可波くんも入ってるから顔作ってねっ」 「顔を作る?」 「これ、インスタのストーリーに載せてもいい?」 「インスタのすとーりー?」  アイスが溶けるまでパシャパシャやって、千織は満足したようだ。 「それで話ってなに」  スッと表情が引いて真顔になる。  めちゃくちゃ怖かった。  千織に連れてこられた「ネオ韓国カフェ」は、女子のお客さんだらけで、まあまあの声量が飛び交っている。  さらに目の前には仏頂面さんがお鎮座。  落ち着かなさを感じながら、可波は頭を下げる。 「ちーちゃん、ごめん」  千織は何も言わず、ブラックコーヒーに口をつけている。 「あんな終わり方は嫌だなと思って。ちーちゃんとはこれからも仲良くしたいから。……大事な友だちとして」 「……なんだ、そーゆうこと」  千織がコーヒーを机に置いた。  反射的に、可波は背筋を伸ばす。 「そーいうの、わざわざ呼び出して言うことじゃなくない? ちょっと期待しちゃったんだけど」 「ご、ごめん」 「まったく、可波くんってほんと人の気持ちに鈍いんだから」  ため息をひとつついて、千織は口を尖らせた。 「……せっかくだから、どうしてダメなのか聞いてもいい?」  可波は手付かずのコーヒーの表面を見つめた。  少し考えて、覚悟を決める。 「僕はちーちゃんが思っているよりも打算的だと思う」 「……どういうこと?」 「うん。高校時代に告白してくれた後輩と付き合ったことがあるんだけど、好奇心を満たしたいだけで、彼女を見ようとしなかった」 「えっ、えっ?」  彼女は可波のことを知らない。少なくても、そういう妙なことを言うような人間だとは、今の今まで思っていなかったのだろう。  千織は激しくまばたきをして、眉間に皺を寄せていた。  できれば可波も言いたくなかった。  彼女には、自分の嫌な部分を見せたくなかった。
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