15話 僕はきみの夢を諦めない

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 雨がカフェの窓を叩いて、傘を持っていない二人は慌てて解散した。  電車に乗っていると、雨の威力がどんどん強まっていった。  最寄駅に降りたときにはもう本降りだった。コンビニでビニ傘を買うか少し悩んだけど、走って帰ることにした。  自分の部屋で体を拭いて着替えてから、華子の部屋にお邪魔する。  真っ暗な玄関を通ってリビングに入ると、珍しく人の気配がした。  髪を下ろし、パジャマ姿の華子が、ソファに座っていた。  そばには数本、ストゼロが転がっている。 「華ちゃん」  呼びかけると、うつろな表情で華子が可波を見た。  助けを求めるように瞳を濡らし、唇を震わせる。 「カナミ……ごめん、進んでない」  彼女の口から出たのは、怒りでも保身でもないそんな言葉だった。 「華ちゃん」  もっと本音で話してくれてもいいのに。  急に距離が開いた気がして、可波はそれが悔しかった。 「ちょっと休んだら元気になったから。がんばる……」  そうは言うけれど、身体も心もガタガタの彼女を見ていると、できるとは思えない。
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