15話 僕はきみの夢を諦めない

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 カフェで、千織に頼んで華子の記事を見直すことにした。  今の記事は、本人が言うようにアダルト系の記事タイトルばかり並んでいた。  千織はそれを見て「本名で探してみたら、裏サイトとかあるかも?」と提案。検索は『泥酔のはす』ではなく、『結野(ゆいの)華子(はなこ)』に。  そこで出てきたのは、7年前のブログだった。  それは、彼女が可波と同じ年齢のときに書いていたもの。  それは、胸を締め付けるほど優しい言葉でつづられた物語だった。  可波は本棚に視線を走らせる。 「! やめてっ!!」  華子も気づいて手を伸ばすが、可波のほうが少し早かった。  本棚から以前「門外不出」と言われたファイルを抜き取ると、邪魔されないよう彼女に背中を向けて開く。 「……やっぱり。プロットだったんだ」  仕事のプロットを必ず手書きする彼女は、自分の小説のプロットも手書きし、ファイルで保管していたのだ。 「返して!」  可波からファイルをひったくるがもう遅い。 「書きたいんでしょ、本当はこういうお話が。だったら書こうよ。自分を偽るのがつらかったんでしょ」 「ねえ、まじでなんなの……。やめて、関係ないじゃん」  可波に背中を向けた華子は、絞り出すように声を出した。 「泥酔のはす先生」 「あ……」  くるりと振り返った顔は、絶望の色で染まっていた。 「な、んで急にそう呼ぶの……? やだ……」  今にも泣き出しそうな表情で、責めるようにつぶやく。  けれど可波は、彼女との関係を疎遠にするためにそう呼んだわけではない。
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