12話 華ちゃんvsちーちゃん

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  ◆◇◆◇◆◇ 「まっさか、土塔くんが一文なしとはねーw」 「千織に感謝しなよ?」 「めんぼくないです……」 「え、いいよいいよ〜。そういうこともあるって。ねっ?」  しょんぼりと肩を落とす可波を、ピクニックシートで隣に座った千織がなぐさめる。  もちろん都内とはいえ廃れた公園、売店なんてものはない。  かろうじて自動販売機を見つけて飲み物を買い(千織に借りた)、丁寧に固辞したけれど、千織のお弁当をわけてもらうことになった可波。  ひとりで活動していたときにはフレンドリーだった別の大学のボランティア男子らには、女子に囲まれた途端にらまれた。  今日は散々だった。 「でもよかった。みんなに味見してもらおうと思って、ちょっと多めに作ってきたんだよね」  そう言ってリュックから取り出したのは、千織の体には少しわんぱくな大きさの弁当箱。  膝の前に置いて蓋を開けると、1.5人分ほどの量のおかずが入っていた。  それを見て、美々が目を丸くする。 「なにこれ! 千織ぃ、すごい! お嫁にきてー!」 「えへへ。考えとく♡」  色とりどりの宝石箱のようなそれとは別に、小さなおにぎりが2つラップで出てきた。 「ごめんね。可波くんには足りないかもしれないけど、おにぎり全部食べてもいいからね。お味噌汁もあるよ」 「って、あんたのカバンは四次元空間かーい」  軽快に里香がツッコんで、笑い声が上がった。  女子三人集まればなんとやらと言うが、空気が華やかだった。  なにしろここまで可波は一言しかしゃべっていない。
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