19人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっとね、卵焼きはちょっと自慢なんだよね」
そう言って、千織は箸で卵焼きを一切れつまみ上げた。
そして可波の口元に、さも当たり前のように運ぶ。
「はい!」
期待いっぱいの瞳がまぶしい。
他の子たちに見られているのを気にして可波は戸惑うが、千織は素で、しかも好意100%の行為だということも知っている。
さらに戸惑う。
だけどここは、自分がいかなければならない場面なのだ。
よし、と心の中で気合いを入れて。
「いただきます」
ぱくついて、咀嚼。
半熟の卵焼きはちょっぴり甘くて、可波も好みな味だった。
「あ、おいし。これ朝から作ったの? ちーちゃんすごい」
しかも久々の他人の手料理。
胸がいっぱいになるほど感動してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!