12話 華ちゃんvsちーちゃん

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「うれしい♡ 昨日仕込んだものもあるんだけどね」 「いやまじであんたら、めっちゃいい感じじゃん」  なにが“いい感じ”なのかは不明だが、正面であぐらをかいて座る里香がサンドイッチを片手ににやにやしていた。隣で足を横に揃えて座る美々も、ウンウンと頷いている。 「むー、私たち前から仲良くて、別にこんなのふつーだもん。あ、唐揚げもうまくできたんだ。食べてみて?」  千織は唐揚げをつまむと、再び可波の口元に持っていった。  それに友人たちがおもしろがってスマホを向ける。 「ええと、自分でいただきますので……」 「うー、ここまで運んだんだし。ね?」  愛らしい瞳がキラキラと期待に染まる。  どうしよう……。と、可波がためらっていると。 「カナミがひとりで食うって言ってるでしょうが!」  二人の間にぬっと弁当箱が割り込んできた。  驚いた可波と千織がパッと離れて振り返ってみれば、日傘を差して地雷系ファッションに身を包んだ少女が、ガラ悪くしゃがみ込み、非難がましい視線を可波に向けていた。
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