過去へ

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 私とカシェルは聖堂にいるルーシィおじ様の元へ向かった。  ルーシィおじ様は、私がなかなか戻らないので心配してくださっていたけど、カシェルと一緒にいることで、何やら難しい表情をしていた。  お、怒ってらっしゃる…当然よね(汗)。 「デイジーを引き止めてしまっていて申し訳ございません」 「神父様も一緒にいたのよ。二人きりではなかったから」  ルーシィおじ様は「…仲直りしたのであれば、まぁそれで」と許して下さった。 「じゃあ、デイジー。また1週間後に迎えに来るから」と教会の出入り口でカシェルは別れようとする。 「ダメよ。私はもうカシェルの側を片時も離れないって決めたの!ウチに泊って行って!」と私が言うと、二人が驚いた。  カシェルが嘘をついたり、約束を守らなかったことなんて無かったけど、銀の魔力を得た今、一人で過去に戻ってしまわないか心配だった。  ウチにカシェルが滞在する事を渋々承知してくれたルーシィおじ様だったけど、教会から屋敷までの帰り道に二人はフェアリックス学園について熱く語り合って帰った。  カシェルは手袋をしたままではあるけど、私と手をつないで歩いてくれた。  カシェルと3人で帰宅したことに、お父様は喜んでくださった。  夜。居間で二人きりになった時にカシェルが言った。 「過去に行って帰ってこれなくなったら、もうおじさん達には会えなくなるから。ついてくるなら、その覚悟でね」  カシェルは本当にそんな目にあってきたのだ。  そして、繰り返し生まれ変わり…今のカシェルがいる。  カシェルはもともとあまり人と関わろうとしないってカール先生から聞いたことあるけど、もしかしたら現在に未練が無いように意識していたのかも。  1週間、お父様に目一杯甘えた。  そして、カシェルからは「デイジー、最近成績落ちてきているよね」とみっちり基礎から勉強をみてもらうことになった…。
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