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 今私は、精度の高い銀の魔力をこの身体に蓄えている。  この状態で『予言の書』を書いたら…どんなことがわかるのだろう。  『予言の書』を手に取り、空白のページをパラパラとめくる。  知りたいことは、沢山ある。  本当のカシェルの気持ち。  過去に行った後、無事に帰ってこれるのか。  カズマの事、どうしたらいいのか。  この銀の魔力を使えば、この先起こる事故や失敗も見事に回避できるだろう。  どのように行動すれば、無事紫の瞳の天使像を取り戻すことが出来るのか。  だけど、それじゃダメなんだ。  自分で考えて、自分で決めて、自分でその道を歩かないと。  誰かの意見を参考にしても、鵜呑みにしてはいけない。  よく考えると私、今まで人の意見に流されっぱなしだったからなぁ。  銀の魔力を無意識に使わないように、自分の奥底にちゃんと仕舞い込んであるか、目をつむって魔力を感じ取り、確認する。  私の奥に仕舞い込んだ赤の魔法を少し、指先に開放する。  それは小さな炎となって『予言の書』を燃やし始めた。  5歳の頃の私、ここまで背中を押してきてくれてありがとう。  おかげで楽しい学園生活を過ごすことが出来て、大切な友達も出来た。  そして、大好きなカシェルを守ることが出来そうよ。  これからは、自分でよく考えて行動するね。  …炎を出す魔法は何となく出来たけど、それを消す方法がわからず、結局リアルな水のお世話になった。
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