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『うっ…かはっ!』ガシャガシャガシャーン!!
真っ先に王妃様が血を吐き、食器を押しのけテーブルに倒れこんだ。
驚き立ち上がった王様は、王妃様に向かって咄嗟に手をかざそうとした。だが何かに気がつき、緑の魔法使いに視線を向けたその時、王様も血を吐いて崩れるように倒れた。
叫ぶ娘やメイド達。
王様と王妃様に駆け寄る魔法使い達。
「あの時…咄嗟に緑の魔法で王妃を治療しようと思ったけど、自分には魔力が無い事に気がついたんだ」
カシェルも私も広間で繰り広げられる惨事に釘付けだ。
『王様!王様!…ダメだ、亡くなっている』
『いやぁ!お父様!お母様!』
王様や王妃様にすがりつき、泣き叫ぶ娘達。
しかし、広間が一瞬静かになった。
『うっ…』
王妃様が、起き上がってきたのだ。
『お母様!大丈夫ですか!?』
『王妃様、一体これはどういうことですか?』
『王妃様…瞳が緑になっていますよ…』緑の魔法使いが驚きを隠せない。
ふらつきながらも王妃様はゆっくり立ち上がり、倒れこんだ王様を見下ろした。
『…死んだの?』
王妃様は静かに聞いた。
『はい、既に息絶えております…。完全に亡くなってしまうと、緑の治癒魔法も効かず…申し訳ございません!』
『状況的にワインに毒が仕込んであったのかと。王妃様は大丈夫ですか』
王妃様はゆっくり王様のそばに座り込んだ。
『毒だなんて、一体誰が!』青の魔法使いが叫ぶ。
『地球からボトルを持ってきた時、既に毒入りだったとか!?』
『私が入れたの。地球からワインと毒を持ってきて』
王妃様が青白くなった王様の顔を覗き込みながら告白した。
『えぇっ!!』皆驚き、驚きのあまりひっくり返った者もいた。
思わず私も声を出してしまいそうだった。
カシェルは…私の背中で感じる息遣いが荒く乱れている。
どうして?王妃様が王様を殺したなんて…何があったの?
カシェルはとても信じられない、といった感じだった。
だけど、怖くて話しかけることが出来ない。
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