謝罪

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謝罪

 私は部屋の内部を少し光らせた。  座り込んだカシェルから大量の鼻血が出ていて、それを必死に手で止めようとしていた。 「ぐっ…ゴボッ!」大量の吐血。  どんどんカシェルの顔が青ざめていくのがわかった。 「カシェル!!」 『誰だ!』バンッと物置部屋のドアが勢いよく開けられた。  私が大きな声を出したから、広間の人に気付かれてしまったのだ。 『こんなところで何をしている!』 『一体どこから来たのだ!』  物置部屋から引きずり出された私とカシェル。 『ちょっと、この人どうしたの!?血を吐いているじゃない』 『まさかこのワインを飲んだのか!?』 『あら、この子…お母様と同じ紫の瞳だわ!』  私は倒れこんでしまったカシェルを背にかばうように座り込んだ。 「私達は、銀の魔法で400年後の未来からやってきました。初代の王様の死の真相が知りたくて…」言ってしまって良かったのかわからないけど、良い言い訳が思いつかなかった。  緑の魔法使いがカシェルに手を当てる。 『…これは…相当ひどい。毒ではありません。既に身体も精神もボロボロだ』 「多分…身体の属性と異なった魔力を使いすぎたのが…負担となったんだと思う」荒い息をしながら、カシェルが言った。 『どうしてそこまでして…一体あなた達はそれを知ってどうするの?』王妃が私達の側に歩み寄る。 「…あなたが無事でよかった。本当にすまなかった」カシェルが優しい声でつぶやいた。  カシェル…やっぱりあなたは今でも…! 「…王様は、本当に王妃様の事を愛していらしたのだと思います」  カシェルが謝罪した瞬間、カシェルの緊張が解けて安堵が漂ったのがわかった。カシェルは、犯人の特定がしたかっただけではない。明らかに自分が狙われた殺人に、巻き込まれてしまった王妃様の事を心配していたのだ。 『愛しているからって何をしてもいいわけがないじゃない!』  王妃様の紫の瞳から、怒りと悲しみの感情があふれ出している。 「王様は400年間、何度も何度も転生を繰り返して…王妃様を探していました。王妃様にお会いできる手段を探していました!孤独に耐えながら、この星中を歩き回って。多分、王妃様に会って謝りたかったのだと思います」 『どうしてあなたがそんな事を…』  カシェルはもう何かを喋る気力もないだろう。  ごめん、勝手なこと言って。
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