謝罪

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『あぁ…。もうこれ以上は…』緑の魔法使いが諦めた声を出した。 『緑の治癒魔法を使ったのですが…魔力による損傷はダメージが強すぎて治せません』  カシェルがもう、虫の息だ。  わずかに動くカシェルの左手。私はその手を握った。  青の魔力が力無く流れてくる。 「デイジー…、ごめん。君をおじさんの元へ帰す事が出来ない」 「そうだね…カシェルがいないと帰れないよ」 「デイジーだけは…大丈…」  カシェルがふっと目を閉じ、動かなくなった。  カシェルの左手に、私の涙がポタポタっと落ちた。 「カシェル…死なないでぇ…」  泣き崩れる私。  カシェル、死なないで、死なないで、お願い…死なないで。  魔力も握力も無くなっていく左手。  カシェルは今やっと安眠する事が出来るのかしら。  命をかけて真相を知り、謝罪した事で、繰り返す転生を終わらせる事が出来たのかしら。    王様とカシェルは、この王宮の庭に埋葬された。  目の前で埋葬されているのに、これが現実だという実感がなかった。  そして私は、カシェルの死によって元の時間へ戻る事が出来なくなった。  この時代の銀の魔法使いにも、過去や未来への行き来は無理らしい。 『王様が生きてみえたら…。一度その魔法を教えて頂いたのですが、まだまだ私には難しくて』  私はとりあえず王妃様とこの王宮に滞在する事になった。  王妃様だけには、私の身に起きた全てのことを話した。 『そう…それは大変だったわね。でも、400年後にはこの星の人口も増えて発展しているのね。すごいわ』と王妃様は嬉しそうだった。  逆に故郷の星の事をお聞きしたけど、想像がつかず、よくわからなかった。
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