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子猫から世話をする。それはつまり、ほぼ猫の一生の面倒をみると言うことだ。つまり、簡単に決断は出来ない。そう、最近ウチノコを亡くしたばかりの身には、荷が勝ち過ぎている。
段々と弱くなる声。助けの来る様子はない。うちには、使う子の居なくなった猫トイレや、キャリーバッグがある。ウチノコの毛が残ったままの猫ベッドもある。
何でも良いから食べて欲しいと、色々と買った食べ物もある。水分補給おやつに、体には良くなさそうな安いカリカリ。高いものから差し出したから、安いご飯は試さないまま残っている。そして、安いご飯だからと、誰かに渡すのも気が引けていた。
声の感じからして、カリカリはまだ早いだろう。ふやかせば食べられそうでもあるが、栄養的には足りないだろう。つまり、猫の食べ物は有っても、猫に合わせた食べ物を買わなければならない。
猫トイレは綺麗にしたし、キャリーバッグも、綺麗にすればまだ使える。だけど、ウチノコが良く寝てくれた猫ベッドだけは、そのままにしておきたかった。
まだ、そこにウチノコが居る様な気がしている。
まだ、猫ベッドにはウチノコの温もりが残っている気がする。
全ては気のせい。頭の何処かで理解していながら、猫ベッドを日当たりの良い窓際に置いている。
盛夏以外は、日向ぼっこが好きだったウチノコ。高齢になってからは、遊ぶ時間も減って、日向ぼっこばかりしていたウチノコ。
流石に、日が暮れたら日向ぼっこは出来ないから、下僕の温もりか暖房器具頼りだったけど。ああ、駄目だ、猫の温もりが恋しい。
心に開いた猫型の穴は、猫でしか埋められない。それは、否定することが難しかった。
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