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海に近い年間を通して比較的暖かなこの町で、俺は野性児のように育った。
海や、小高い丘や、自然の中で仲間と走り回ってばかりいた俺は、小学四年生の頃に入ったチームでサッカーを始めてから、夢中になっていた。
それから一年後のことだ……
お前と初めて出会ったのは。
「明日、転校生がこのクラスに来る。
体が丈夫ではないので、体育は見学。
休み時間も、走り回ったりできないので気をつけてやってくれ。
同じ事ができなくても、彼が仲間外れにならないように、みんなが考えてくれたら先生は嬉しい」
前日、担任からそんな話を聞いた。
翌朝、俺達の前に現れたお前を見た時、心臓が一瞬跳ねたのを今でも覚えてる。
大きな瞳に長い睫毛、栗色のふわっとした髪と、色白で華奢な体。
だって転校生は男子だと聞いていたから、どんなヤローが来るのか気にしていたんだ。
そしたら、正直どの女子よりも可愛い男子だったのだから。
外で走り回ってばかりの日焼けした俺達の中で、それは異彩な光を放っていたように見えたんだ。
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