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結び
2人は宅飲みでもしようと途中で酒とつまみを買い込んだ。
クリスマスという事もあって、街中はチキンやケーキの宣伝も沢山していて、例に漏れず購入した。
「食べきれますかね……」
男2人でホールケーキなんてと凛太郎は笑った。
「いけるっしょ。甘いもん好きだし、明日もあるし?」
明日も……とは、と凛太郎が聞き返すと龍司が少し背伸びをして凛太郎に耳打ちする。
「お泊まりデート、するだろ?」
「は、はひっ!?お、おと、おとまり!?」
なんの心構えもなくそんな事を言われ、思わず挙動不審になってしまう。その姿が面白くて龍司はケタケタと子供のように笑った。
* * *
「乾杯っ」
「か、かんぱい……」
グラスを軽く合わせてから注がれた酒を一気に煽る。
「っぷはぁ〜うめ〜!昼間から飲む酒サイコー!」
上機嫌の龍司に対し、凛太郎は酒をチビチビと口へ運ぶ。
「酒苦手?」
「あ、いや……そういうんじゃなくて、緊張しちゃって……」
龍司の部屋へ来るのは二度目だが、さっき言われたお泊まりという言葉に妙な緊張感に凛太郎はソワソワして落ち着かない様子。
「んな、硬くなんなって。襲ったりしねぇからさ」
「おそっ、襲う!?」
「いや、だから襲わないってば。とりあえず飯食おうぜ」
「飯……食いましょう……、はい……」
肩を竦め怯えた声でオウム返しのような会話になってしまった。深呼吸を何度かしてようやくなんとか落ち着きを取り戻すと酒や料理の味が分かるようになったらしく、凛太郎はすごい勢いで皿を開けていった。
「腹減ってたの?」
「いや……緊張して昨日の夜から何にも喉通らなくて……安心したらこのとおり……」
見た目は変わっても中身は凛太郎のまんまだなと龍司は笑った。そんな笑顔に釣られて凛太郎も微笑む。
「おっ、もう酒がないな。取ってくる」
そう言うと龍司はすぐに新しく缶の酒を2本を持ってきて元の位置に座るのかと思いきやストンと凛太郎の足の間に座った。
「あ、あの、え……龍司さん……座るところ……」
「ん?なんか間違ったか?」
付き合ってるんだしこのくらいするだろと言いながら持ってきた酒を開ける。
「あっ、やべ少しこぼれた……」
龍司はもしかしなくても少し酔っているのかもしれない。体温も少し高めで肌もアルコールのせいで赤く色づいている。
「こ、これで拭いて……」
無防備な首筋に見とれてしまっていた凛太郎ははっと気づき傍にあるティッシュを手に取った。
「サンキュー」
拭いたティッシュをゴミ箱に向けて投げる。飛距離が足りなかったのか手前で丸まったティッシュは落ちた。拾おうと立ち上がる素振りをすると龍司が動いちゃダメと制止した。
「え、でもゴミ……」
「いーから、このまんましてろ。お前暖かいし、なんか落ち着く」
ぽふっと龍司は凛太郎に体重をかけて寄りかかる。
「酔ってます?」
「酔ってませーん」
酔っ払いはみんなそう言う。だが、こんな可愛い龍司が見れるのなら酔っていても嫌な気はしない。むしろ……可愛すぎる恋人の姿にちょっとばかり身体が反応してしまう。
(静まれ……今じゃない……)
凛太郎は心の中で落ち着かせようと言い聞かせる。
「……本当はさ、あの時結構辛かったんだよ」
突然話が変わってなんの事かと考えていると龍司はそのまま話を続けた。
「あいつ好みに振舞ったりして無理してさ……でもお前といると自然体で居れてさ。そういうのがいいなって思って……そしたらお前のこと好きとか言う女の子が現れてマジ焦った」
そこまで聞けば元恋人の事や真弓の事だとすぐに理解出来た。
「龍司さん……でも俺の気持ちは変わらないよ……さっきも言ったけど俺は龍司さんが好きです」
「うん、あんがと」
「俺ね、本当はこうやってくっつくの好きだし、一緒に居るときは構って欲しいタイプなの。けど前のはやる事やって終わり。特に会話とかも無くてさ。だから凛とこうして話したり飯食ったりってすげぇ楽しいわけ。お試し期間だって最終的には嬉しかったり、早く次会いたいとか思い始めてさ」
「嬉しいです」
凛太郎は龍司のお腹に手を回しきゅっと抱きしめた。
「凛太郎……好きだよ」
「はい、俺も好きです……」
互いの言葉に気持ちが高鳴り、見つめ合いゆっくり唇を合わせる。
「ん……」
「凛のキス、きもちい……俺ねキスも好きなの。だからもっとして……」
凛太郎を上目で見る龍司があまりにも
可愛くて言葉を遮るように口付けた。軽く何度か触れるだけのキスの後、龍司が舌先で凛太郎の唇をつっついた。おずおずと舌を出せば熱い粘膜が絡みついてきた。絡み合う度に粘膜のこすれる音が頭の中に響いた。
「んぅ……」
「んふっ、口ん中あっちーな」
唇が離れ、べーっと赤い舌を伸ばし茶化すように言う。
「……龍司さん」
「なぁに?」
「あの、俺……」
流石にあんなキスをされてしまったら欲望を押し殺すのは無に等しかった。
「わーってるよ。さっきから凛の当たってるし?」
「すみません……」
「いーよ、嬉しい。ねぇ、凛太郎……エッチしよ?」
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