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「サクラを呼べ」
「サクラを出せ」
「早くしろよ」
客たちは大声で言う。
私はベースを持ったまま、その大勢の客の前で額に汗が流れるのを感じた。
「お前らの曲なんてどうだって良いんだよ。早くサクラを呼べよ」
私の足元に空のペットボトルが転がった。それを合図に客席からステージに色々なモノが飛んで来た。
振り返ると宮脇は我関せずとドラムを叩き続けている。
トオルもそれに合わせてアレンジしたギターを陶酔するかの様に弾いていた。
「止めてくれよ」
私は、ベースを下ろし、傍にあったアンプに立掛けた。
「止めろって言ってるんだよ」
私はステージの真ん中に立ったマイクを取り大声で叫んだ。
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