ひまわり畑のさんげき

1/1
前へ
/11ページ
次へ

ひまわり畑のさんげき

 ヒノ国に住む少年・ヒグルマの、4つになったばかりの妹をさらっていったのはネズミたちでした。  夏も終わりに近づいたある日、妹は家の畑で自分の3倍も背丈のある、ひまわりを見上げておりました。そこへ来たネノカタス国の軍隊――つまりネズミたち――に、連れ去られてしまったのです。妹は悲鳴を上げましたが、あいにく声の届くところにいた大人たちは皆、自分の身を守るので手一杯でした。  夕方になっても妹が戻ってこないことを知って、ヒグルマは探しに出ました。  なぎ倒されたひまわりの下を探しても、姿が見えません。のどが破れんばかりに呼んでも、返事がありません。足が動かなくなるまで歩いて、ついに目から涙がこぼれました。  ヒグルマの妹も、ほかのおさない子どもたちと同じように、「さらわれた」としか考えられなかったのです。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加