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歌声はとどく
ヒノ国に新しい春が訪れたころ、ひとりふたりと、子どもたちが帰ってくるようになりました。
ある男の子は、村の外れで泣きじゃくっているところを近所の人に見つけられました。
ある女の子は、母親が子守唄がわりにその子の詩を歌っていると、ふいに庭先に降ってきました。
どのようにしてかは分かりません。でもたしかに女神の言ったとおり、ネノカタス国に子どもたちを呼ぶ歌声がとどいたのです。
そうして5年の月日が過ぎると、かつてさらわれた子どもたちのほとんどが家に帰ってきました。でも吟遊詩人は歩き続け、歌い続けておりました。
ヒグルマはまだ、妹さがしをこれっぽっちもあきらめていなかったのです。
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