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 アトランティス王国は、滅亡の危機に瀕していた。  理由はあんぱん。  優れたあんぱんは、つぶあんかこしあんか。  たった一つの問いかけによって、国民は二つに割れた。    毎日、血を血で洗う大戦争。  国民たちは、次々と命を落としていった。    アトランティス王国の国王は、悲惨な光景に嘆き悲しみ、たった一人の息子に世界の命運を託した。   「我が息子、あああよ」   「はい」   「戦争止めて」   「はい」    あああは、国王から大体なんでも斬れる剣と大体なんでも防げる盾を受け取り、戦場へと立った。       「いいえ」    あああの一言で、国民たちは戦争をやめ、平和になった世界を抱き合って喜んだ。   「いいえ」    しかし、あああは国民たちを皆殺しにした。  戦争を起こした国民は、既にあああにとって悪でしかなかった。  あああは、正義感が強い少年だった。  それゆえ、国民を許すことができなかった。  なにより、あああは小倉あん派だった。    あああの所業を知った国王は、怒り狂った。   「なんてことをしてくれたんだ!!」   「いいえ」    あああはなんかいろいろやって実の父である現国王を失脚させ、新たな国王となった。  あああは玉座に座る。    父は失脚し、アトランティス王国を去った。  国民たちは全員死んだ。  王国には、人っ子一人いない。   「いいえ」    あああは嘆き悲しんだ。  悪は滅んだ。  しかし、あああが目指していたのはこんな世界だったかと嘆き悲しんだ。   「いいえ」    あああは、アトランティス王国を旅立つ決意をした。  アトランティス王国に、あああの目指す世界はもうない。    あああは、真に平和な王国を作るため、アトランティス王国を発った。   「いいえ」    無人となったアトランティス王国は、寂れていき、そのまま悲しそうに海の底へと沈んでいった。
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