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A (眠そうに)おはよう。
B おはよ。どうした?寝不足?
A うん、実は女の子にデートに誘われちゃって、悩んでて…。
B なになに?恋のお悩み相談?
相手、誰?俺の知ってる子?
A いや、どうかな。たまたま席が隣だった、知らない子。
B おぅ、ひとめぼれ系?相手の子、積極的だな。
A でさ、デート先にドレスコードがあるらしくてさ。
オレ、こういうの初めてで、自信なくて…。
B いいぜ。そういうことなら、任せろ!
ドレスコードってことは、デート先は高級なレストランか?
相手の子は、かなり気合入ってるのかな。
A いや、デート先はうちの近所の神社。
B 神社?
A ドレスコードが…なんていうんだっけ。白い浴衣?
B こんな時期に縁日なんてあったか?
A しかも結構時間にも厳しくて。
B 門限的な?相手の子は、箱入りお嬢様系なの?
A いや、夜中の午前1時に現地集合。
B それ、もうお泊りコース確定じゃん!えっ、なにそれ!
どういうデートプラン?
A 丑の刻参り。
B 丑の刻参りぃ?
A たまたま、オレがそこの神社で一人で呪ってた時に、
隣でやってたのが、その子だったんだよね。
結構、道具とか本格的でさ。プロ仕様っていうの?
うわーすげーな…って見てたら、向こうから声かけられたんだよ。
もしよかったら、今度一緒にどうですか?って。
B おひとり様キャンプみたいなノリで言う…。
A オレまだ、始めたばかりで道具も揃ってなくてさ、
藁人形の代わりに藁納豆だし、
五寸釘も手持ちがないから、ホチキスだし。
和服の正装もないから、とりあえず祭りの法被で代用してて。
B 素人でもわかる。それは道具がそろってないにも、ほどがある。
A で、色々教えてくれるっていうから、お言葉に甘えちゃおうかなって。
B 丑の刻参りを?
A うん。初対面だったけど、好みが合いそうだったから。
B 相手の顔がタイプだったとか?
A いや、呪ってる相手が同じ人だった。
B え、怖っ!二人から呪われてるって、そいつどんな奴だよ。
A え…あ…べべべ、別にいいだろ、そこは!(急に狼狽える)
B …って、俺かよ!俺なのかよ!嘘つくのへたすぎかよ!
A ちょ…そういうの、プライバシーの侵害だから、やめてくれる?
B いやいやいや。俺、生存権侵害されてるから!
A あ、そういえば、丑の刻参りって、
呪ってる相手にばれたらダメなやつだった。
内緒にしといてって、釘刺されてたんだったわ。
ごめん。悪いけど、今の話、全部忘れて?
B その刺してる釘、ガチの五寸釘のやつ!
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