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マリオネットの国とマリオネットの人たち
昔々、あるところにマリオネットの国がありました。その国に住んでいる人たちはみんなマリオネットだったんです。
大人も子どもも、王様も町の人も木でできたマリオネットです。イヌやネコだって操り糸がついたマリオネットなんです。
だから、この国の人たちはとてもやさしくて、礼儀正しかったんですね。だって、乱暴なことをしたり、ケンカしたりしたら、糸がからみ合って大変なことになっちゃうでしょ?
いったんからみ合ったら助けることだってうかつにはできません。助けようとした人ともっとこんぐらがっちゃったりしますから。
え? その糸を誰が操っているんだ、ですか?……さあ、空のはるか遠くまでつながっているんでよくわかりませんが、この国の人たちは、糸は神様につながっていると思っていました。
自分たちは神様に操られているのだと。それもこの国の人たちがやさしくて、礼儀正しい理由かもしれませんね。
さっきも言いましたけど、この国には王様がいて、みんなを治めていました。王様やお妃様やおふたりの間のたった一人のお子様、お姫様はとてもきらびやかな衣装を身を着けていました。
王家の人たちは操り糸もたくさんあって、神様とのつながりが多いと思われていたんです。
反対に貧しい人たちは糸も少なかったんです。だから手足の動きはともかく、表情の変化が乏しいのは仕方ないですね。
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