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コルネリアはくらくらした。弟のように思っていたリシャールと、淫らな行為にふけっている。それはあまりに現実感がなく、どこか夢のようだった。
二人はしばらくお互いを擦りあっていたものの、ややあってリシャールが苦しそうに首を振る。
「ああ、ダメだ。これだけで幸せで、気持ちよくて、満足なはずなのに。……これだけじゃ足りないと、思ってしまう」
どろりとした劣情に満ちた瞳に見つめられて、コルネリアはぶるりと身体を震わす。
その次の瞬間、柔らかな唇が吸われ、今まで入り口を執拗に犯すだけだった熱杭が、コルネリアの中にねじ込まれた。誰の侵入も許したことのない隘路が、無理やりみちみちとこじあけられる。
「きゃっ……あうぅっ……っ!」
「ッ、すごい、……熱い」
「あっ、ひっ……! ああっ……」
コルネリアは、痛みと、その奥の強烈な快感に喘ぐ。先ほど無垢な蜜壁を指で丹念に刺激され、呼び覚まされたまだ若い快感が、肉幹によってさらに成熟し、膨張していく。
温かな泥濘に容赦なく己を締め上げられたリシャールは、玉の汗を額に浮かべながら、荒い息を吐く。
「……ッ、コルネリア、そんなにナカ、絞めないで……」
「ご、ごめんなさい……。い、いたいの……? どうすれば、いいかしら……」
コルネリアはおずおずとリシャールに上目遣いで訊く。
こういう状況にもなってこちらを気遣ってくるコルネリアの健気さに、リシャールは堪らず呻いた。伝え聞くところによると、破瓜の痛みは、相当なもののはずなのに。
「……こういう時まで、貴女は人の心配をする。まったく、本当に……」
リシャールはコルネリアの唇を奪い、舌を絡めた。舌を絡めるたびに、一瞬隘路の強ばりが緩み、その隙をぬってリシャールは何度も腰を打ち付ける。自分の形を教えこむように、何度も、何度も。
「り、リシャール、様っ……」
「その呼び方イヤだ……ッ! 昔みたいに、リシャールって呼んで……」
「りしゃー、る……リシャール……ああっ……」
「うん、そう……。そうやって呼んでほしかった……」
昔のように呼ばれ、リシャール自身がコルネリアの中でさらに大きくなる。彼はコルネリアの白桃を思わせる臀部を掴んで、腰をふりたくる。コルネリアが甲高い悲鳴のような嬌声をあげても、彼は己の行為を止めない。いや、止められなかった。
「……まったく、自分が嫌になります。俺は、いつも俺のことばかり考えてしまうのに……。貴女がほしいと、そればかりで頭をいっぱいにさせているのに……」
コルネリアは違う。リシャールのためと、自ら築き上げた地位と名声をあっさりと彼に捧げ、何の見返りを求めることなく、どこぞの田舎に消えようとしていた。
「出会ったころの約束なんて、すっかり忘れていたと思ってたのに! どうしてそんな、っ……妙に律儀なんだよっ……!」
「ああっ……! りしゃー、る……!」
コルネリアの秘裂が、射精を促すようにきゅうきゅうと締め付けてうねる。どちらからともなく交わされる唇の交歓が、二人を悦楽の渦に巻き込んでいく。
「なにがなんでも、もう離さない……っ!!」
「うんっ……! ああっ……、やめ、て……、もう、やめて……、リシャー、ルぅ……」
「やめてって言いながら、気持ちよくなってるくせに!」
「やぁん! りしゃ、―る! りしゃ……」
胸の中で己の名前を呼びながら、身体を反らして淫靡に乱れるコルネリアを抱きしめ、リシャールは自らの精をコルネリアの最奥にこすりつけるように放った。
「……はあっ、はあっ……」
一度達したのに、リシャールの強ばりは硬度を保ったままだ。コルネリアの隘路は物欲しげにひくついている。
「……ふう。まったく、まだここは足りないみたいですね」
リシャールが楽しげに笑ったのを、コルネリアは洪水のような快楽の中で聞いた気がした。
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