1999年 6月

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1999年 6月

炭酸が飲みたい。 そう思った瞬間、今年も夏がきたんだ、と気がつく。 放課後間際のショートホームルーム。 3階だというのに、開け放たれた窓からは外を走る大型トラックの音が聞こえる。 うるせえな。 そう思う間にも、トラックはとっくに走り去っている。 いるはずもないトラックを探すでもなく、何の気なしに外へ目をやると、校庭の桜がどっさりと緑の葉っぱを繁らせているのが見えた。 ああ、サイダーが飲みたいな。 三ツ矢だっけ、あの昔からある緑と白のやつ。 シュワシュワの爽やかな刺激を思いながら、頬杖ついでに喉を掻く。 普段は別にそうでもないのに、徐々に湿度が高まるこの時期はどういうわけかそういうものが飲みたくなる。 私なりの景気づけだ。 暑いのには辟易するけど、夏が好きなのだ。 サイダー飲みたい。 でなきゃ死にそう。 いや、マジで死ぬわけじゃないけど。 とにかくサイダーは飲みたい。 あれ、でも私、放っておけば死ぬんだっけ。 まあ、とりあえず、いいか、それは。 奇しくも今は世紀末だし、100年の終焉には多少気がそぞろになるってものだろう。 一年の玄関には毎年恒例のツバメの巣ができていたし、制服の衣替えもした。そこにきてこの喉の渇き。 これはもう夏で間違いない。 窓からかすかにぬるい風が吹き込んでくる。 グラウンドの土の匂いがここまで届いた気がして、私は思わず目を閉じた。
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